にほんブログ村 旅行ブログ ヨーロッパ旅行へ Somewhere but Here: December 2008

Wednesday 3 December 2008

オレンジの実のなる頃―バレンシア旅行記(2)

さて、一方通行だらけで狭い歩道から歩行者があふれ出ている通りを抜けると、鉄道脇の見晴らしのよい場所にでた。
そこから見える白い大きな建物がリアドロの工場である。

近くの大きな駐車場に車を止めて、リアドロの工場の入口に向かう。白い建物が、青い空に映えて美しい。我々は子供のようにはしゃいで、看板の前で記念撮影をする。

門をくぐろうとすると、入口の左手にある守衛所から門番がニコニコ顔で我々を迎える。「今日は工場見学はないよ。そのかわりアウトレットショップが、この通りをまっすぐいったところにあるから、そっちに行くといいとのこと。」さすが「日本人=アウトレット目当てのショッピング客」という公式がしっかりと教育されている。
正直、僕も家内も完成品に興味があるのであって、(僕には完成品への興味すらない)製造工程はどうでもいいわけである。だから、さっそくアウトレットショップへと向かう。アウトレットショップの入口は非常にわかりずらいところにあった。
よくわからないので、近くに立っている老夫人に声をかけようとすると、彼女はニッコリ笑ってショップの入口を指差す。「日本人=ショッピング」の公式は世界共通の不滅の公式である。
ショップの中にはいると、大きなテーブルがずらりと並んで、そこにリアドロがところ狭しと置いてある。


製造過程でハネられたものが、ここで販売されているわけだが、我々の目にはどこが悪いかよくわからない。もちろん合格品をみていないのだからなおさらだ。いずれにせよ、市価の半額程度で販売されている。これが日本へ輸入されるとさらに値段は倍になるのだから、日本で買う価格の1/4で買えることになる。

それにしてもなぜ、世の婦人方は「これを日本で買おうとするとXXX円くらいするから」という理由で海外にくると必要以上に物を購入するのであろう。買わなければゼロ。スペインでもゼロユーロなら、日本でもゼロ円で同じ価格のはずなのだが・・・。

Cash&Carryの愚痴はこのくらいにして・・・
いろいろ迷った末、一点豪華主義で大きなリアドロを買うことにした。梱包するとセダンのトランクに入らないくらい大きいため、バルセロナに配送してもらうことにした。後部座席に置けないことはないが、後部座席に置いて車上荒らしにあってはかなわない。外から見えるところに荷物を置かないのが日本以外の国での鉄則である。

Tuesday 2 December 2008

オレンジの実のなる頃―バレンシア旅行記(1)


11月、バルセロナから地中海沿いに延びるAP-7号高速道路を南下する。



オリーブ畑が果てしなく続くタラゴナ県を通りすぎて、バレンシア県にはいったところで地上の色は一変する。白くくすんだオリーブの緑色にかわって、黄色に近いフレッシュな緑が地上を覆う。スピードを落としてそれらの木をよく見ると、オレンジの実がなっている樹木であることがわかる。



そう、この地域はバレンシア・オレンジの故郷なのだ。

我々の最初の目的は、バレンシア郊外のアルボラヤ(Alboraya)という町にあるスペイン名産のリアドロという陶器工場に行くことである。もっとも工場見学よりもアウトレットでリアドロを買うことが主体ではあるが。
さて、ナヴィゲーションに入力していた住所が違っていたために、アルボラヤの町の中で我々は迷子になってしまう。そこでリアドロの工場へ電話を入れて確認すると、やはりナビに入力していた住所が違っていた。

アルボヤラの町の一角
電話口で彼は、「とにかくアルボラヤの町の中なら、だれに聞いてもここがわかるから、とにかく町の人に聞くことだね」といわれた。
ところが、実際に道行く人に「リアドロの工場はどこ?」と聞いてみると「そんなの知らない」という答えが返ってくる。

ちょっと、これには僕も困惑した。

そこで、今度はこういう風に聞いてみた。「ジャドロの工場はどこ?」
すると「ああ、LLADROね。それなら、この道をまっすぐにいって、二つ目を・・・」と縦板み水を流すように答えが返ってきた。

ここでちょっと解説するが、スペイン語でLLという文字は口を思いっきり「い」の状態に広げて「リ」と発音する。ところがこれは日本語の発音にないために日本人にはちょっと難儀する言葉である。むしろ日本語で「ジャ」と発音した方がスペイン人にはわかりやすいのだ。


スペイン語でこういう例をあげると、Cを現地人は厳密には英語のTHの発音をするが、日本人がSと発音しても意味が通じるというものもある。日本人がRとLの発音の区別をつけることができないように、外国人は外国人で、自分の使う言語にそういう盲点を持っているものだ。これもスペイン語であるが、かれらは日本語の「ず」と「す」の発音の区別はできない。つまり「すずしい」と「ずうずうしい」の区別がつきにくいように。無理して正しい発音に近づくように練習するくらいなら、こういう簡便法を覚えるほうが効果的だと思っている。我々はいくら発音の練習をしてもネイティヴとは同じにはなれないんだし、そういうところで労力を費やすのは時間の無駄だと思っている。

2008年11月15日