にほんブログ村 旅行ブログ ヨーロッパ旅行へ Somewhere but Here: River Danube in August 20. (8月20日のドナウ川)Part 12

Saturday 1 September 2007

River Danube in August 20. (8月20日のドナウ川)Part 12

8月20日の晩餐


実は、この日は家内の誕生日ということで2か月まえからヴァロドーサというハンガリーで一番、二番クラスのレストランを予約していた。しかしそのまったく同時刻にドナウ川岸で盛大な花火大会があることをブダペストに到着して知った。



我々は、どちらにいこうかレストランをキャンセルしようかと最後の最後まで迷っていた。
苦渋の決断というほどでもないが、我々はレストランに行くことにする。なぜそう決めたかはちょっと思い出せない。二者択一の選択を長い間考えていると、考えるプロセスが混乱して、最後のちょっとしたささいなきっかけで決定してしまう。そんな感じの決定の仕方だったと思う。
それなりの服装をして、ホテルをでる。そのレストランはホテルから5kmほど離れた高級住宅街にあるのではやめにホテルをでることにした。

ところが着替えをすませてロビーに降りてくると、


どしゃぶりの雨・・・・

さっきまであれほど晴れていたのに、天候がものすごく不順である。でも、ある意味天気予報はあってる・・・。

ということで花火大会になんの未練もなくレストランにいくことになる。

しかし、突然の豪雨でホテルの入り口は一時の雨宿りの観光客であふれている。ホテルにタクシーを頼むと、「今日はこのあたりは通行規制でタクシーが入ってこれないんだよ。」ということで何度かタクシー会社に電話をしてもらったが、応答なし。
しかたなくどしゃぶりの雨の中を、流しのタクシーをつかまえるために街に出ていく羽目になる。 ガイドブックには流しのタクシーは使うなと書いてあるけど、そんなこともいってられない。


通行規制の外側まで10分ほど我々は歩いて、運よくタクシーをつかまえることができた。

タクシーに乗り込んで、運転手に住所をつげると、「うん、その場所は知ってるよ、レストランだよね。」という心強い返事が返ってきた。
そして、わさわざ地図をみせながら、「今日は、この橋とこの橋が通行止めだからかなり大周りしないといけないんだ。料金は高くなるけどいいかな?」といってくる。正直で親切な運転手である。

豪雨のために暗くなった町をタクシーはぬけていく。となりの車からのしぶきが後部座席の窓に直接あたる。この天気の落差はいったい何なんだろう?


出発に30分余裕を持っていたおかげでレストランには予約していた7時丁度に到着する。
親切なタクシーの運転手にはかなりチップをはずんで、奥にあるレストランへと向かう。

レストランといっても、看板がでていないし、市内からは3km以上離れている。ましてあたりはまったくの住宅街である。
これがこの国でいう一番、二番のレストランというのは、日本でいえば、政治家が使う料亭みたいなものだろうか。

http://www.vadrozsa.hu/

実際に、入口には政界や実業界の有名人の写真がかざってあり、なかでも現スペイン国王ホアン・カルロス一世と后妃ソフィアの写真が大きく飾ってあった。

女主人がにこやかに「お待ちしてました」と話しかけ、さっそくダイニングへと案内してくれる。大きなシャンデリアがかざられたダイニングルームには、大小あわせて8つくらいの白いテーブルクロスがかかったテーブルが並んでいる。逆にそれしかテーブルはない。予約が絶対に必要なレストランのようだ。


我々は部屋の中央付近にある4人用のこぶりなテーブルに座る。

部屋の隅にはグランドピアノが置いてあり、いかにも東欧系という感じの太ったピアノマンが座っている。
我々に日本人か中国人かと話かけ、日本人と答えると、さっそく「さくら、さくら」「浜辺の歌」などを弾いてくれた。合間には「Happy birthday to you」を演奏してくれた。これには家内はうれしかったようだ。

メニューについては、事前にウェブでチェックしていたが、ここはひとつシェフのお勧めから選ぶことにした。

前菜は、3種類のフォアグラの盛り合わせ、主菜に、家内はサーモン、私は鴨肉を選ぶ。
フォアグラはフランス料理で有名だが、ここハンガリーも本場らしい。

飲み物には、ハンガリー特産のTokajiワインを頼もうとしたが、女主人は、「Tokajiワインはフォアグラとの相性はいいけど、料理にはあわないわね。前菜のときに、グラスで一杯だしましょうか。」と説明する。たしかにどんな料理とも相性がいいワインではないので、アドバイスに従って、前菜に一杯だけ頼むことにした。あとは、家内が魚を頼んでいたので、ハンガリー産のワインを頼んだ。


その日、我々の客以外は2グループいた。一組は、地元の女性4人組みで、もう一組は、ドイツあたりからの観光客であろう男女5人がドイツ語と英語でちゃんぽんに話をしていた。

外の雨はやんだらしく、遠くからかすかに花火の音が聞こえていた。

さて、主菜を食べ終えたが、なかなかデザートのオーダーを取りに来ない。お腹もかなり膨れているので、この際デザートをパスして、お勘定をしようかと相談をしていたときに、突然部屋の照明が落ちる。

停電かと思ったその瞬間、女主人がろうそくを灯したケーキが家内の目の前に持ってくる。
そしてピアノマンが再びHappy birthday to youを弾き、他のお客もいっしょに歌う。これには家内も感動したように赤面をしていた。うん、酒でよっていただけかもしれないが・・・。

日本人にとっては、かなり大きなケーキではあったが、このバースデーケーキは残してはいけないと、彼女はがんばって平らげだ。おかげで、彼女は翌日昼過ぎまで何も食べたくないということにはなるのだが。

デザートをすませると、すでに3時間が経過していた。お勘定をして、タクシーを呼んでもらう。気になる値段は2人で42,000フォリント、飲物こみでひとり15,000円くらいの話だ。この値段でその国の一番の料理が味わえるのであれば、安い方ではないだろうか。

我々が帰るころには、花火大会も終わり、市内中心部の通行止めも解除されていた。


タクシーの窓越しに見るドナウ川は、国会議事堂のライトアップを水面に映して、安らかな表情をしていた。

往路の三分の一の時間でホテルにたどりつく。



すでに11時近かったし、シャワーをあびてすぐにベッドについた。かくして我々の8月20日、家内にとって何度目かの誕生日は満腹の胃袋をかかえて幕を閉じることになる。


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