にほんブログ村 旅行ブログ ヨーロッパ旅行へ Somewhere but Here: 遥かなるトスカーナ、静かなるコートダジュール (16)

Thursday 11 October 2007

遥かなるトスカーナ、静かなるコートダジュール (16)

イタリアの靴屋


しかし、このホテルは家内の目からすると災厄以外の何物でもなかったようだ。トイレの水が止まらない、室内の電球が一個こわれていて室内が暗い。暖房設備が古くて利きが悪い。スーツケースを置くところがない。バスタブがない。夜中に女のすすり泣きが聞こえる。などなどなどなど・・・
 

私は貧乏旅行になれている(そもそも貧乏にもなれている)ので、あまり気にもならなかったが、彼女にはどうにも我慢できないものだったらしい。しかし残念ながら、このホテルの印象がその後の彼女が持つイタリアに対するイメージに暗い影を投げかけてしまったのも事実だ。


 そんなホテルなのでチェックイン終えたらさっさと外へ出て市内観光をする。ところがここで私は数年に一度もしない愚行をしでかす。地図を逆に見てしまい、市街の中心地にいくつもりが反対の方向に歩いてしまう。間違いに気がついたときはすでに15分くらい歩いた後なので家内はご機嫌ななめ。しかも右足の小指にくつが当たって痛くて歩けないといいだした。なんとかなだめながら市街地にもどり、足にあった靴あるいはサンダルを探すことにした。

イタリアは革製品でも有名と聞いていて、たしかに教会広場に無数にならぶ露店でも皮のジャケットやカバンを売る店がやたらとあったが、不思議に靴を売っている店はなかった。


家内の機嫌も限界にきていて、かなりあせったが最後にはちょっと離れた通りで靴屋をみつけることができた。さっそく店の中に入る。

翌日も何度か靴屋に入る機会があったが、そこで気がついたのは、イタリアの靴屋ではすべての商品がショーウィンドウでディスプレイされていて、店の内部には、試し履きするスペースとキャッシャーがあるだけであとは壁一面に色気のない靴箱が並んでいるという店の構造になっていることである。
客は店の外にある靴を指さして、試したいことを伝えると店員が壁に並んでいる靴箱からサイズのあったものを壁にならんでいる靴箱のひとつをとるというしくみだ。

それに対して、スペインではショーウィンドウもあるが店の内部もすべてディスプレイに費やされており、ほしいサイズを店員にいうと店の奥からだしてくるというしくみになっている。


家内はバルセロナに住んで3年近くになり、英語を使う機会がまったくない。だからどうしてもさっと口をついて出てくるのはスペイン語になる。そうすると店員もニッコリしながら今度はイタリア語で話す。結局私が英語で通訳したりすることになるが、悪い癖で時折しいれたばかりのイタリア語の単語をポロッというものだから、また話がややこしくなる。結局何語で会話をしていたかは定かではないが、とにかく店員も去年はバルセロナに遊びにいったとかなんとかなんやかんやと世間話をしながら(イタリアだな~)お目当てのサンダルを購入して店をでることになる。

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